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最高裁判所第三小法廷 昭和38年(オ)1105号 判決 1964年3月17日

上告人

和田ひさ

大南スヱ

被上告人

平田ミちゑ

右訴訟代理人弁護士

尾山尚介

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人らの上告理由第一点について。

所論は、本訴請求の当否、ことに亡大南コトと亡宮本真治郎および同人と訴外宮本輝男との間の各親子関係の存否に関する争いは、人事訴訟手続法の規定によつて審判すべきであるとの見解を前提として、原判決を非難するものである。

しかし、親子関係の存否に関する身分関係者間の紛争は人事訴訟事件と認めるべきであるが、この身分関係に基づいて生ずる法律効果に関する紛争は、通常の民事訴訟事件として処理されるべきであり、右訴訟手続においては、親子関係の存否に関する審理、判断も民事訴訟法の規定するところに従つてなされれば足り、人事訴訟法の規定する特殊原理に従うことを要しないものと解するのが相当である。したがつて、本件の場合、原審が所論親子関係の存否を通常の訴訟手続によつて審判したのは、正当である。所論は、右と異なつた見解に立つて原判決を攻撃するにすぎないから、採用できない。

同第二点について。<省略>(裁判長裁判官横田正俊 裁判官石坂修一 五鬼上堅磐 柏原語六 田中二郎)

上告人の上告理由

第一点 控訴裁判所は人事訴訟手続法(または家事審判法)に違背した判決をしている。すなわち控訴裁判所は、判決理由中第二本案請求について(三)項前段において、訴外亡大南コトと同亡宮本真治郎及同宮本真治郎と訴外宮本輝男の各親子関係に言及し、その各親子関係を否定し、よつてもつて「従つて輝男にコトの直系卑属としてその相続権があるということはできない」と説示しているが、身分関係についてのかかる重要な判断は、前記二法所定の手続をふんで厳格になされるべきであるから、かゝる判断は全く軽率で違法というべく、この場合判決に決定的な影響を及ぼすこと明かな法令の重大な違背と言わざるを得ない。<以下省略>

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